鳥山石燕(とりやませきえん)の氏名は佐野豊房。正徳2 (1712) 年、江戸幕府の御坊主(※)の家に生まれ、江戸の根津で育った説が有力であるといわれる。その為、芸術に親しみやすい環境だったといえる。 早くから江戸幕府の御用絵師「狩野玉燕周信 (かのうぎょくえんちかのぶ)」に師事。
雑司ヶ谷鬼子母神にある石燕の絵馬は枠内丈四尺四寸、幅五尺四寸五分。大額で落款は鳥山石燕豊房図とある。元文3 (1738) 年。26歳の時、雑司ヶ谷鬼子母神堂に「板絵着色大森彦七図」を奉納する。
石燕の絵馬は小石川氷川神社に 「范僧門破りの図」、湯島天神社に「草摺引図」があったが、昭和20年の戦災などで失われ、現在は鬼子母神の絵馬が石燕遺作の唯一のものある。
※「御坊主(おぼうず)」：江戸幕府に仕え、江戸幕府将軍や大名の日用品を整える役職。
▲鳥山石燕の絵馬
「板絵着色大森彦七図 (いたえちゃくしょくおおもりひこしちず)」 東京都指定文化財になっている。
撮影 : 井上久美子
歌麿なども輩出
石燕は門弟の教育にも熱心で、 かの浮世絵美人画家として知られている喜多川歌麿や、戯作者(げさ くしゃ)の「恋川春町(こいかわはるまち)」など、石燕門下。多くの著名な弟子を輩出したことでも知 られている。
▲雑司が谷いろはかるた 「う」の札に、歌麿 浮世絵四季の遊びは 「雑司が谷詣」 とある。
取材協力：豊島区立郷土資料館/威光山 法明寺
とっぴぃ 豊島の選択 No.138
（『豊島の選択』より加筆転載）
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