乾板からフィルムの時代へ ---富士写真フィルム設立の礎となった東洋乾板
大正12年9月1日の関東大震災により、東洋乾板は薬品をはじめ、大量の在庫乾板が粉砕し大損害を受けるのだが、これを機に大正15年7月、大阪の大日本セルロイドが東洋乾板に、10万円を出資して、経営に参画するのである。しかし、時代は乾板からフィルムに徐々に移行。軽くて、携帯が出来るロールフィルムの需要が高まっていくのである。
昭和9年1月、大日本セルロイドは資本金300万円で富士写真フィルム株式会社を設立す る。
東洋乾板は合併吸収され、同社発足の礎となったのである。
昭和22年に閉鎖されるまで、富 士写真フィルム雑司ヶ谷工場と してロールフィルムの加工や16ミ リ映画の現像を行っていた。
乾板からフィルムの時代へと。時代の要請、そして急激に宅地 化が進む雑司ヶ谷は井戸の水量 も減少し、乾板製造には適さな い土地となっていったのである。
▲東洋乾板俯瞰図
二階建てで乾板工場と研究所が設けられた。機械設備の充実とあわせ て水不足を解消するために深さ8メートルの井戸も掘ったという。(富士写真フィルム(株)50年記念誌より)
▲東洋乾板社員のお花見。
手前のシルクハットの男性が高橋慎二郎氏。作業員は地元の女性が多かったという。高橋慎二郎氏 昭和50年の5月17日95歳で逝去(高橋俊之氏提供)
取材協力：豊島区立郷土資料館 （『豊島の選択』より加筆転載）
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