鶴屋南北が選んだのは雑司ヶ谷四家町
元禄時代に起きたとされる事件を基に創作された「東海道四谷怪談」。 怪談の定番とされ貞女の岩が夫の伊右衛門に毒を盛られ幽霊となって復讐を果たす・・・ というもので、文政８年に江戸中村座で初演された四世鶴屋南北の代表作である。
当時は、幕藩制の土台が崩れ始め、これまでの既成概念、秩序が崩れつつある時代。 その中にあって南北は忠臣蔵というパロディーの形をとって描いたと思われる。
さて、舞台は新宿区の南の大木戸のあった「四谷」と思う人も多いが、四世・鶴屋南北が選んだのは
雑司ヶ谷の「四家」である。当時、不義密通の男女を戸板に釘付けにして神田川に流したという事件があり、南北はそれを組み込み、どうしても神田川沿いにしたかったため「雑司ケ谷」の四家が選ばれたのではないかとみられる。
四代目 鶴屋南北
江戸日本橋に生まれる。四代目 鶴屋南北は、江戸時代後期に活躍した歌舞伎狂言の作者。
鶴屋南北を襲名した者は５名を数えるが、通常はこの四代目のことをさす。また５代の南北のなかでもその業績が突出しているため、この四代目のことを特に大南北。
取材協力：豊島区立郷土資料館 （『豊島の選択』より加筆転載）
| コンテンツのトップ |
次のページ 地名由来について探る 「雑司ヶ谷」村と記すよう命じた徳川吉宗 |
江戸ことば 月ごよみ
