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江戸の正月風景 「吉原の正月」
sibugaki 2022-12-28 23:21
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吉原の正月は静かである。 元日の朝は居続けの客もなく、メインストリートである仲之町(なかのちょう)通りには人影がない。ひっそりとした音のない世界でもある。時折、時を告げる金棒引(かなぼうひき)が、金棒を引きずり鐶(かん)を鳴らし歩き、時を告げる柝(き)を打つ音がするだけである。 吉原の大晦日(おおみそか)から元旦にかけて、若い者(妓牛〈ぎゅう〉とも言う)は大忙しである。「引け四ツ」が過ぎて客がいなくなると、通りに門松を出し、妓楼に向けて門松を飾る。通りに背を向けるのは、客が入りやすくするためのスペースを作るためだという。 この「引け四ツ」は、吉原独特の時報で、九ツ(午前零時)を告げる直前に四ツ時(午後10時頃)を触れ回ることである。明暦3年(1657)の振袖火事で元吉原(中央区堀留町付近)も全焼し、浅草日本堤千束(せんぞく)村へ移転(新吉原)させられた。遠い郊外の地となったことから、吉原遊びは夜の営業が許されるようになった。しかし、四ツ時で営業を終了して大門(おおもん)を閉め、客を帰していたのでは夜の商売にならない。 誰か頭の切れ者がいたらしく、九ツまでは四ツ時なのだから、九ツの直前に四ツ時を告げて回ればよかろうとなって「引け四ツ」が生まれた。
*画像〜仲之町の年礼の様子。花魁や禿たちが吉原の大通りを行き交う。右中央の禿は羽子板を持っている。左端には大黒舞(だいこくまい)の芸人たちがいる。十返舎一九作・喜多川歌麿画『吉原青楼年中行事(よしわらせいろうねんちゅうぎょうじ)』(享和4年〈1804〉刊)より。
詳しくは>〜江戸言葉 月ごよみ 「吉原の正月」 http://www.edoshitamachi.com/modules/tinyd11/index.php?id=15
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